第21回 青井中美展

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2014年11月13日(木)~11月30日(日)

第21回青井中美展の開催にあたって

富山県立高岡工芸高等学校 校長 松井裕敏

 

 このたび、第21回青井中美展を実施しましたところ、県内41校の中学校や特別支援学校から562点の応募がありました。絵画、デザイン、彫刻、工芸の分野から優れた作品24点を表彰し、青井記念館美術館に展示いたしました。若い感性で、見る者に伝える強いメッセージとパワーを感じる秀作がそろっていました。

 さて、この青井中美展は本校創立100周年記念事業で、青井記念館が現在地に新築移転となった機会に発足したもので、県内の中学生を対象に美術工芸作品コンクールを開催して、若き中学生の創作意欲を促し、絵画・工芸に親しむ機会を設け、さらに郷土の芸術家にも関心を抱いてもらおうと企画されたものです。

 本校は明治27年に「富山県工芸学校」として、若き美術家・工芸士の養成学校として開校されました。創校当時の学校は、一流の指導者、日本一の施設設備、そして近郷近在から集まってくる優秀な学生と三拍子揃った日本有数の美術系学校として全国に知られていました。卒業生の中から、日本を代表する優れた芸術家が多く輩出されています。

このような由緒ある地で、県内の中学生を対象とした美術・工芸コンクール優秀作品を一同展示することは大変意義のあることであり、絵画、デザイン、彫刻、工芸の各部門の応募数も多く、作品内容も充実している事は主催者として誠に喜ばしいかぎりです。

 おわりに、審査にあたられました先生方をはじめ、これまで生徒の指導に当たってこられました先生方及び、4月から企画運営にご尽力いただきました関係の皆様に厚くお礼申し上げます。


第21回青井中美展 青井大賞

1青井大賞

「生きるために」

中谷 朱里 中田中学校3年


青井中美展審査評

絵画部門  大村雅章・天野宏昭・大門俊彦

 応募数が昨年より減った中で審査した結果、近年になく厳しい入選率となった。審査に当たっては、感じ取ったよさや美しさを深く追求し、丁寧に表現している作品を選出した。絵画制作では、自分が表現したいことを追求し続けると同時に、表現を支える技能を高めることも重要である。スケッチを繰り返すことや、様々な作品を鑑賞することなどを通して、じっくりと身に付けてもらいたい。 富山県知事賞「群」池森ヒカル テーブルに並べられた瓶一本一本の表情と、その空間の魅力をしっかりと見つめ、調和のとれた色彩で表現している。光と陰が織りなす色合いの変化が繊細で美しい。 優秀賞「京都路地」大家美奈 路地のもつ、ほの暗さや生活感までを神秘的な色合いで力強く描いている。角を曲がるとどんな風景があるのか…。絵の世界に足を踏み入れたような、印象に残る作品である。 富山新聞社優秀賞「自然の花」舟戸葵 昨年に続いての受賞である。抽象表現ならではの強さや変化があり、色彩に託す作者の思いが伝わる。今後も独自の表現法を追求し続けてほしい。


彫刻・工芸部門  竹田貞朗・般若保・佐伯高基

 第21回中美展の彫刻工芸部門では立体作品に中学生の若さで新しい素材を自由に利用した大作が目立った。作品は小さいが伝統工芸の技法やアルミ、銅板などの材料を使ったすばらしい作品も見られた。制作されるデザインなどに「月」「地球」「宇宙」と広い世界の感覚で考えられた作品が多く見られた。

教育長賞「私の夢」森川亜美

樹脂で作られたもので、粘土での感覚が少女彫刻の基本をしっかりつかんでおり、すばらしい。立体感の表現で人の温かさが感じられる力作である。

最優秀賞「脚と足」篭大仁

荷作り用の材料を用いた彫刻制作の人物づくりである。骨組、肉付け、筋肉など注意深く観察されていた。足だけながら人間の全体を感じられ、作品の力強さもあり立派な作品である。

優良賞「ニジマス」村田秀平

作品は紙粘土の素材で魚を表現したものである。作品は浮き彫りで、立体感が良く表されている。魚が好きなのか、各々のひれ、鱗まで観察され、色彩も柔らかく魚に引付けられそうな作品である。


デザイン部門  玉井晶夫・山本實・佐藤克己

 

 197点の応募(入選数98点・49.7%)。入賞、入選作は若いエネルギーと感性に溢れる作品が多く、中学生からデザイン教育に熱心な先生方の姿が浮かびます。

青井大賞「生きるために」中谷朱里

イエロー系で鹿、ブルー系のオオカミ、相組する動物は強者と弱者か。天地創造の時代から営まれた世界を光琳画に視る「流線」をバックに描き、輪廻を感ずるデザイン、色調の巧み、アイデアもすばらしく大賞に相応しい傑作。

チューリップテレビ優秀賞「生きる源」石橋名結

色彩溢れる作品が多い中、モノクロの作品。画面中央に太陽、周りは海中、線画が巧みで綺麗な線で描かれ、魚・海草など緻密ではあるが、画面の構成に工夫がほしい。

富山新聞社優良賞「雑音ポプリ」藤井あすか

暖かい明るい色彩、画面一杯に香り立つ花々、片面に大きく描いた少女頭部、バランス・ボリューム感迫り、色合いも良い。

チューリップテレビ優良賞「和のリズム」若狹未羽

デザイン(グラフィック)の基礎、形・構成・色彩を学び、インパクトのある、丁寧な仕上がりを心がけた作品。形のバランスや造形に感覚を磨くと良い。

 立体デザイン・切り絵作品に秀作が見られた。


第21回青井中美展 入賞作品

富山県知事賞

「郡」

氷見市立北部中学校 池森 ヒカル

富山県教育委員会教育長賞

「私の夢」

高陵中学校 森川 亜美

2富山県知事賞 3教育長賞

最優秀賞

「脚と足

志貴野中学校 篭 大仁

優秀賞

「京都路地」

石動中学校 大家 美奈

5優秀賞

富山新聞社優秀賞

「自然の花」

庄川中学校 舟戸 葵

チューリップテレビ優秀賞

「生きる源」

庄川中学校 石橋 名結

6富山新聞社優秀賞 7チューリップテレビ優秀賞