第10回青井中美展

2003年11月18日~12月3日

 富山県立高岡工芸高等学校長 久津 武司

株式会社丸井の創業者である青井忠治さんが、後輩のためにと寄贈され、全国的にも高等学校に附属する青井美術館の開館を記念して始められた青井中美展も、今年で節目となる第10回目を迎えることとなりました。

先日、高岡テクノドームで開催された「全国伝統工芸展」では伝統工芸士の方々の素晴らしい作品や実績に心打たれる感動を覚えました。伝統工芸士の方々は、若いときから自分の感性を磨き続け、今日の城に到達されたものであり、その道程の努力は並大抵のものでは無かろうと思います。

 伝統工芸展の一角に、明日を担う若手の作品展が設けられ、混交の生徒たちの作品も数多く展示させていただきました。毎日、朝早くから夜遅くまで没頭して作られた作品は、人々に感動を与えられたと思っています。

 青井中美展は、柔軟な発想力や感性を持つ中学時代に、未来に自分の才能を開花される機会となることを願って開催しておりますが、その趣旨が浸透し、継続していくことに開催者として喜んでおります。

 今年度は参加校58校、応募作品数794点であり、各部門ごとに厳正に審査をいただき、入選作品を320点に絞り、入賞作品として23点選考いたしました。いずれの作品も素晴らしく、選考過程において審査員の方々を悩ませるほどでした。応募された方々は、これを機会として、研鑚に励まれ、自己の才能を開花させていただきたいと思います。

 終わりになりますが、生徒の指導に当たられた中学校の先生方や、企画・運営や審査にあたられた関係各位に深く感謝申し上げます


第10回青井中美展 青井大賞

「あの日々は思い出に」
佐藤 綾香 五位中学校3年


青井中美展審査評

全体講評

審査委員長 大角 勲

はじめに今年で第10回を迎える青井中美展の開催に対し心よりお祝いを申し上げます。
この展覧会の傾向として、年々質が上昇してきており、今年も昨年以上に力作がそろった展覧となりました。受賞された各作品も作品の大きさは若干小さくはありましたが、内容の濃い秀作揃いとなっております。
中学生が長い時間をかけて制作した作品は観る人の心を必ず打つものと確信しております。
今後の希望といたしましては、先ほども若干触れましたが、少々作品が小ぶりでありますので、中学生の持つエネルギーをぶつけた大作にも挑戦してほしいと思っています。


絵画部門

鶴谷 登・吉川 信一

作品の質的レベルも年々上がってきている。入選率は32.3%で、他の部門に比べて最も厳しいものとなった。
青井大賞の「あの日々は思い出に」佐藤綾香さんの作品は、床に置かれたボールとズックの描写が的確で構図も良い。審査員の評価も高かった。
チューリップテレビ優秀賞の「水音」岩田朋恵さんの作品は、滝の表現とともに岩の質感が良く表現されており、自然の持つ力を感じさせるものとなっている。
富山新聞社優良賞の「八尾の風景」嘉藤麻紀さんの作品は、石垣の表現や家並みが、町の持つ情景を良く表現している。黒をうまく使いこなしたり、全体を落ち着いた色調でまとめ上げている。
佳作の「真剣なまなざし」加門詩織さんの作品は、作者の意図が明確に表現されていて、画面からストレートに制作中の真剣さが伝わってくる。また、筆を持った表現や顔の表情が良い。


彫刻・工芸部門

大角 勲・竹田 貞郎・吉井 清隆

彫刻・工芸部門は毎年作品の質が高くなり、使用する材質も多様化している。県知事賞の「つかむ」庄西中の平井沙也香さんの彫刻作品は、手の全体の形と指などの部分もよく見て肉付けされ、手の表情をいきいきと表わし、幾何学的な三角や球などと良く調和し、動きも感じ力強く全体を包み構成された透作である。
優秀賞の「不思議な形」蟹谷中の西尾新一君、彫塑材料にダンボールを利用し基本形より変化させて、形の美しさ、動きを工夫して構成の効果をあげ、リズム感のある気持ちのよい作品である。優秀賞の「スポーツ」芳野中の樋爪綾香さんの彫刻の小さな浮き彫り作品だが、人物の動きをよく観察し、瞬間的な動きをとらえ、薄い肉付けで立体感が良く表現された作品である。優良賞「束縛」伏木中の木村実季さんの彫刻作品は紙を利用し、立方体を線で結ぶ動き、リズム感が生まれ、変化と統一のある立体構成された素晴らしい作品である。


デザイン部門

玉井 晶夫・太田 広信

記念すべき第10回青井中美展のデザイン部門の応募が年々増え続け、今年は288点になりました。そのうち半数以上がおしくも選にもれたのですが、会場にずらりと並べられた個々の作品から発せられる若いエネルギーが、ますます強くなったのが印象的でした。ただ、全体的に小型作品が多く、総合審査にエントリーしたデザイン部門の作品も小型グラフィックとなり、多部門の作品よりもボリューム感で見劣りしたのが惜しまれます。
この中で、富山県教育長賞の「からくりロボット」は、レイアウトも、細部にわたる仕上げも良く、わかりやすい表現でした。「美しいデザイン」も必要ですが「伝わるデザイン」も大切であり、この作品をその点で評価しました。
優秀賞の「海は宝物」は、色彩とイラスト訴求力が群をぬいており優れた作品です。
その他、写真や他の材料を組み合わせたコラージュという手法や、室内環境という立体作品もあり、年々個性的になっているのが実感できました。


第10回青井中美展 入賞作品

富山県知事賞
「つかむ」
庄西中学校 平井 沙也香

富山県教育委員会教育長賞
「からくりロボット」
高岡西部中学校 志村 菜穂子

   

最優秀賞
「秋の日差し」
出町中学校 藤本 由香

優秀賞
「海は宝物」
氷見南部中学校 余川 めぐみ

   

富山新聞社優秀賞
「不思議な形」
蟹谷中学校 西尾 新一

チューリップテレビ優秀賞
「水音」
高陵中学校 岩田 朋恵